2012年6月30日土曜日

「速く、快適に」飛ぶ

飛行機旅行の最大のメリットは「速く、快適に」移動できることだ。「速さ」は、他の交通機関に比べて優勢である。現代のジェット旅客機は、マッハ(音速)の〇・八五倍の時速約一〇〇〇キロのスピードで飛行できる。したがって、陸海をまたがる東京-札幌間のような区間では圧倒的な強みを発揮し、航空旅客のシェアは九七%に達している。

しかし、空港とを行き来する(アクセス)交通手段にかかる時間を考えると、短距離では鉄道にかなわない。その分岐点は、距離で四〇〇キロ、鉄道の所要時間で三時間といわれている。

国内に当てはめると、東京から仙台、新潟、名古屋は鉄道が圧倒的に強く、岡山あたりから航空が盛り返す。当然のことながら、出発地と到着地の空港間だけでなく、自分の家の戸口から目的地の家の戸口の「ドアートウードア」の所要時間が問題なのだ。

飛行機にはコンコルドのようなマッハ二・二(音速の二・二倍)の超音速機もあるが、環境問題が完全に解決できていないことから、就航路線は限られている。また、運航コストが高いことから、大量輸送に適したジャンボ機などに運賃面でかなわない。

次に「快適さ」だ。初期の飛行機は、エンジンの騒音や振動に加えて客室が十分に与圧されていなかったので、寒く、耳鳴りなどが起こる不快な乗り物だった。オーバーを着込み、襟巻きをして機内に乗り込んでも、寒風が吹き込み、乗客はひたすら寒さと振動に耐えていた。

それが地上とほぼ同じ環境で飛べるようになったのだから、たいへんな進歩といえる。さらに、ジャンボジェット機の就航によって、座席の広さ、過ごしやすさははるかに向上したものの、飛行機の航続距離が伸びたことによって直行便が増えた。乗客はただ座っているだけなのだが、さすがにI〇時間を超すフライトは正直いってきゅうくつだ。