2012年6月30日土曜日

利用しやすいダイヤとは

旅客が利用しやすい交通機関の運航ダイヤのポイントは、①一日中まんべんなくダイヤが組まれている、②覚えやすいようにパターン化されているIの二点にある。逆にダイヤが片寄っていたり、運航時間帯でダイヤがまちまちだと、いちいち確認しなければならず面倒くさいだけでなく、行動が交通機関によって制約されてしまう。

時刻表を持たずに空港へ行ってもあまり待たずに乗れ、いったん覚えた出発時刻が他の時間帯でも適用できるなら、とても便利だ。

国内=日帰りができるダイヤか

日本の航空は、欧米に比べると便数が非常に少ない。幹線を除き、地方路線では一日一便の路線も少なくない。地方路線でも一日に最低二便のフライトが欲しい。

一日一便では日帰り旅行もできず、航空旅行のメリットが発揮できない。ちょっとした用件ならば泊まらずに済ませられれば、航空旅行の価値は高まる。宿代を節約できるなら、航空運賃が多少割高でも納得できるというものだ。

国際線は毎日運航、パターンダイヤが最適

国際線でうまくできているのは、東京―香港線だ。日航もキャセイも毎日三便ずつを運航しているうえ、ダイヤを朝から夜まで適度に散らしている。朝一番のフライトで飛べば午後一番に香港に入れ、翌日の最終便に乗ればI・五日をまるまるビジネスに使える。

しかも、毎日同じ時間に飛んでいるので、都合が悪くなれば日にちだけずらせばよい。スケジュールをIから組み立て直す手間が省ける。

この対極にあるのがニュージ圭フンド航空で、ダイヤがまったくバラバラだ。たとえば大阪発のオークランド行き。週に七便運航しているのに、同じ九八便が月曜は一八時二〇分発(クライストチャーチ経由)、木・金曜は二一時発(直行)、土曜は一八時五〇分発、日曜は一九時四五分発でクライストチャーチ経由。火曜と水曜は便名が三二便に変わって火曜の出発時刻は二〇時一五分発(直行)、水曜は一六時五〇分発(クライストチャーチ経由)という具合である。

日本や欧州系のエアラインは週一便ずつ増やしていく堅実な戦術をとるが、米国系は毎日運航のマスマーケティングを基本とするので、利用者はわかりやすい。就航するならば週七便、逆に七便の乗客を集める自信がなければ就航しない、というのが原則だ。

だがその一方、公共性などはまったく考えないので、儲かる時間帯にフライトを集中させる。たとえば、東京-サンフランシスコ線が典型だ。ユナイテッドは毎日二便、週一四便を運航しているのだが、東京発の時刻は一七時と一九時。そのためもあって、他社を含めて東京発のサンフランシスコ行きダイヤは毎日五便あるものの、出発時刻は一五時一〇分から一九時の三時間五〇分の時間帯にすべて集中している。交通渋滞などに巻き込まれて空港への到着が遅れても、他社への振り替えもできず、その日の出発はあきらめなければならない(ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港行きも毎日五便だが、出発時間帯は八時間に分散している)。

そして、ビジネスマンに重要なことは、出発と到着の時間帯だ。もっとも理想的なのは、こちらを勤めの終わった夜に出て、目的地へ早朝に着ければ時間のむだがない。

かつての欧州線がアンカレッジを経由していた時代にはうまくいっていた。成田を夜の二二時頃に離陸するフライトはロンドン、パリに早朝の六時頃に到着し、朝から活動を始められた。

それが直行便が就航するようになって、飛行時間は短くなったものの、かえってタイミングは悪くなり、成田を昼頃発って現地に夕方到着する。日本でも出発当日は仕事にならず。ヨーロッパの第一日目も寝るだけという状態になる。