2015年5月8日金曜日

東アジアでは契約観念がきわめて薄い

日本も他の東アジア諸国・地域も、太平洋の向こうにアメリカの巨大市場があるために、雑貨や衣料品、簡単な機械器具などから始まって、次第に中級品から高級品を輸出するようになり、めざましい経済発展をとげたのであるが、最後に中国が登場し、東アジアとアメリカとの経済関係は、いよいよ大規模・緊密となり、世界経済のなかの東アジアの重みがさらに増すことは確かである。アメリカの影響はたんに技術や市場にかかわるだけではない。欧米の企業が商業取り引きにかかわる法律のもとで契約書を作成し、法律にしたがって契約を守り、法律で契約が保護されているのに対して、東アジアでは、その契約観念がきわめて薄い。一九九八年八月の新華社の報道によると、共産党中央と国務院は金融リスク問題を非常に重視して、金融界の貸し付け管理の強化を要請した。

それにもとづいて中国銀行は、融資や保証や担保、債権移転等々について、貸し出し契約にかかわる法律の原文と一つ一つ対照して取り決め、契約が法律の保護を受けられるように、業務を改善しつつあるという。中国でも法律はあるが、それを知らず、あるいは無視して取り引きが行われてきたケースが少なくないことが、この報道で分かる。また中国農業銀行は、融資を利用して株式・先物取り引きを行っている企業や、国の法律や産業政策で禁止されているプロジェクトを強行している企業に対しては、新規融資を中止し、未返済の旧債権を徐々に回収しているとも書いている。