2015年12月3日木曜日

日本の主要輸出品とは

重要な部品が日本から東アジアに送られ、東アジアからは比較的簡単な部品と完成品とが送られるという貿易も盛んになった。平成九年版『通商白書』による一九九六年の統計では、韓国、台湾、香港、シンガポールへの日本の主要輸出品の第一位は、いずれも半導体・電子部品であり、主要輸入品の第一位は、韓国と香港が半導体・電子部品、台湾とシンガポールとがコンピュータである。そのコンピュータの大部分はパソコンで、日本の企業の逆輸入品か、現地企業と契約したOEM製品である。
 
この際、東アジアについて注目すべきは、すでに前著『日本経済の迷路を解く大予言』で述べたことであるが、東アジアの域内貿易額は、東アジアの域外貿易額より大きくなっているということである。東アジアの各国や各地域に日本系の組立工場や部品工場が分散した形で進出していて、国や地域の境をこえて部品が行ったり来たりするから、域内貿易額はそれだけ増える。

しかし、それより重要なことは、東アジア経済全体の発展のために、現地で製造された衣類やテレビやビデオや自動車などの完成品が、域内の住民たちによって、国や地域をこえて、どんどん購入されているということである。つまり東アジアの企業は、日本や欧米の企業の、OEM製品づくりや、たんなる下請け企業の地位から脱却して、相互に経済的に補完しあう地域を形成するようになった。
 
そして、家庭電化やモータリゼーションを特徴とするアメリカ風生活スタイルは、アジアNIESにはある程度行き渡っているが、なおかっかなりの市場拡大の余地がある。マレーシア、タイ、フィリピン、インドネシアなどASEAN4においては、これから中間層を先がけとして浸透しようというところである。日本で言えば、一九五〇年代の前半にあたる。一九九七年から始まった金融危機のために、その消費市場の拡大は頓挫しているが、経済改革が進み、景気はすでに回復基調に入っている。