2015年4月3日金曜日

低価格の空調機が得意分野

私は主として意思決定に責任を持つ会長兼CEO(最高経営責任者)、北井君は主に執行責任を担う社長兼COO(最高執行責任者)に就任。経営のグローバル化か進むなか、ますます幅と深みを増す課題に素早く対応するため、役割分担を決めた。北井君は私より10歳年下であり、北井君の先輩や同世代の役員にも活躍してほしい。私か重しとなって役員陣の求心力を保つ狙いもある。ところが、残念なことに北井君が健康を害し、2年で社長を退任してしまう。後任には現場経験か豊富で数字に強い岡野幸義副社長を選び、手腕を発揮してもらっている。企業は時代に適応した先見性のあるリフダーのもとで、激しい環境変化に機敏に対応できなければ競争には勝てない。自分たちに代わる次の経営陣を育成しようと若手幹部には重要な部門を任せて修羅場の経験を積ませ、04年に社内に設けた「経営幹部塾」でも鍛えている。

経営者に求められる資質とは何か。私には持論がある。経営者には、美しいものを見たり聞いたりしたときに心底感動する人が多い。美しい音楽を聴いて、あるいは心温まる話を聞いて感動する感受性がなければリーダーとしては成功しないようだ。自ら人を引っ張るというより、周りの人たちか自然にその人を引き立て、リーダーとしての仕事をさせる側面か強いと思う。物事に感動し、それをエネルギーとして一歩を踏み出すリーダーの姿を見て周りの人間は安心してついていくのではないだろうか。

経営諮問委員として当社の経営に参画していただいているりIダフの方々はまさにそんな資質を備えている。2007年時点では椎名武雄(日本IBM最高顧問)、宮原賢次(住友商事会長)、中谷巌(三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長)の各氏ら異分野・異業種の一流の方々6人だ。02年にはアートコーポレーションの寺田千代乃社長らを社外取締役に迎えた。経営諮問委員、社外取締役と社外監査役は07年時点で計10人。生え抜き取締役と監査役は計1111人で、激しい議論の応酬のなかから最適な解を見つけようとしている。社外の方々に触発される点は多い。椎名さんは明るく人を惹きつける魅力にあふれる経営者。情報技術(IT)時代の企業経営の針路や日米の経営手法の違いなどの助言を大いに役立てている。06年7月に経営諮問委員に加わっていただいたオムロンの立石義雄会長には、創業者から受け継いだ経営理念の徹底、人柄から生まれる求心力などを学んでいる。皆さんともに経営者のお手本である。