2012年6月30日土曜日

娯楽設備で差別化を図る

ある調査によると、国際線の航空旅客の機内での一般的な時間の過ごし方は、二五%が食事やトイレなど生理的な時間、三五%が睡眠時間、残りの四〇%が娯楽に使われているという。十一時間のフライトであれば、三時間が食事等、四時間一〇分が睡眠、四時間五〇分か娯楽となる。

機内のサービス娯楽設備は、いまやビデオ、テレビゲーム、カジノとエスカレートし、九八年には航空業界全体で一七億ドル以上が娯楽設備に投じられた。

世界のエアラインは近年、液晶テレビをエコノミークラスを含めて全座席に組み込むようになった。機材の進歩によって画像や音質がよくなっていることに加えて、プログラムの内容がバラエティに富み、個人の好みで好きなプログラムを選択できる。

「グリスワールド」と名付けられたシンガポール航空の娯楽システムは、任天堂のテレビゲーム、映画、スポーツ、芸術、ニュースなど二二のビデオチャンネル、二一のオーディオチャンネルが、日航の新型ジャンボに搭載されている「マジック・システム」では、映画一〇、音楽一八チャンネル、ゲームー○種が用意されている。

また、ヴァージン・アトランティック航空の「オデッセイ」はツァージンクループの強みである音楽番組九チャンネルをはじめ、ビデオこIチャンネル、テレビゲームー○種、飛行状況がひと目でわかる「エアーショウ」(ナビゲーションマップ)が組み込まれている。

エコノミークラスでも一人一台のシートテレビが設置されているエアラインは、このほかにキャセイ・パシフィック、JAS(B777のみ)などだが、これからはどんどん増えていきそうだ。

また、刺激を強めているエアラインの中には、各国の法律にしばられない公海上の空を飛ぶのをよいことに、ギャンブルを機上に取り入れている会社(ヴァージンなど)もある。

乗客はクレジットカードを使って、最大三五〇ドルまでの損を覚悟するかわりに最大三五〇〇ドルの儲けを楽しむために、スロットマシンやポーカーをビデオゲームでチャレンジする。

航空会社の方は、これらのギャンブルで年間五億ドルの利益を上げているというのだから、乗客の熱中ぶりがわかる。