2014年7月2日水曜日

ヨーロッパ市民権構想

ブリュッセルで買ったマンガ入りの絵葉書に、こんなことが書かれてあった。「あなた方は、完璧なヨーロッパ人を造るとすればどうしますか?」「イギリス人のように料理する。フランス人のようにドライブする。ベルギー人のようによく働く。フィンランド人のようにおしゃべりする。ドイツ人のようにユーモラスである。ポルトガル人のように器用である。スウェーデン人のようにフレキシブルである。オーストリア人のように忍耐づよい。ルクセンブルク人のように有名になる。イタリア人のように自制する。アイルランド人のように冷静でいる。スペイン人のように控えめになる。オランダ人のように気前がいい。ギリシヤ人のように組織的である。デンマーク人のように慎重に行動する」これを読んだヨーロッパ人は誰でも笑い転げるだろう。その理由は解説する必要もあるまい。

もう一つ。ヨーロッパのベスト組み合わせと、最悪組み合わせ。まずベスト組み合わせ(天国チーム)は、警官がイギリス人で、シェフがフランス人。メカがドイツ人で、恋人はイタリア人。すべてを取り仕切るのがスイス人。他方の最悪組み合わせ(地獄チーム)は、警官がドイツ人で、シェフがイギリス人。メカがフランス人で、恋人がスイス人。イタリア人がすべてを取り仕切る。

それにしてもヨーロッパ人という種族は、夢もあるがユーモアもある。多民族共同体ユーロランドはここしばらくは安泰だろう。具体化するヨーロッパ市民権構想は日常生活も変化するが、もっと重要な生活構造上の変化は、EU全体に拡大するヨーロッパ市民権構想である。EU加盟国の市民であれば、どこでも共通の市民権を持つことができるという発想こそ、EUの共同体理念をより高度なレベルに引き上げていくために不可欠のステップである。

EUが共同体として加盟国の市民に対して与えることのできる最高の贈りものは、ヨーロッパ市民権構想である。居住権、教育権、雇用と職業選択の自由という基本的権利から、大学卒業資格、技能資格の証書まで共通にしようという徹底ぶりである。EU市民はどこにいても基本的権利を共有するというのは、新しい社会モデルの創造である。